天正十年 六月十五日 安土城焼失…………
宣教師ルイス・フロイスはその著書の中で、
安土城ほどの名城を、さしたる理由もなく焼いてしまうとは、
織田信雄は気違いか、大馬鹿者か…と激しく責めている。
後世の歴史家の評価もさして変わらない……。
しかし、この安土城の炎上によって
戦国と呼ばれる一つの大きな時代が
終りをつげた事もたしかであろう。
そしてこの後、秀吉、家康へと受け継がれる天下統一への歴史は
その概略が多くの歴史書の記すとおりである。
だが、そんな時の流れの中で流され続けた
名も知れぬ人々の血と汗と涙の想いが、
それぞれの歴史を形作っていることもまた、
忘れてはならない事実である。
――――「妖刀伝」ここに完結――――
C-01 本編
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